「長屋の花見」


 

別名「貧乏花見」

 

長屋の連中、家主からの呼び出しに店賃の催促ではないかと、恐る恐る行ってみると、みんな揃って花見に行こうという誘い。用意はできているが、よくよく見ると、酒は番茶を薄めたもの、かまぼこは大根で、玉子焼はたくあん、。今月の月番と来月の月番が毛氈がわりのむしろをさしにないで、皆やけ半分に出掛けた。向島につくと、酒盛ならぬチャカ盛りがはじまる。玉子焼をぼりぼりかじったり、酒にさかばしらがたったり。俳句をひねる人がいるので、聞かせてもらうと、「長屋中歯をくいしばる花見かな」早くよいなといわれて、酔ったふりの一人は本当の酒をもってこいと酒癖が悪い。また気分が悪くなったという男は、どんな気持ちだと聞かれ「井戸へおっこったときのような気持ちだ」といいだすありさま。そのうち芸者幇間をつれて騒いでいる連中をみかけて、そのそばでなれあいの喧嘩をはじめた。連中がそばづえをくうのを恐れて、にげてしまったあと、本当の酒やごちそうをとってきて、みんなで酒盛りをはじめる。それをみた幇間は、ここが忠義のみせどころとばかり、はちまきをしてかた肌ぬいだうえ、酒樽かたてにどなりこんでくる。しかし、長屋の連中の剣幕にたじたじとなって、「じつはちょっと踊らしてもらおうとおもってやってきました」「じゃあその手の樽はなんだ」「これは酒のおかわりをもってまいりました」

 

 

 

●昇吉落語会は2018年6月29日(金)

 

昼の部 1400開演(1330開場 1600終演予定)

 

夜の部 1900開演(1830開場 2100終演予定)

 

国立演芸場